― イナーシャ、損失回避、現在志向バイアスの罠 ―
あー、また今月もお金が残らなかったなぁ。
給料日には「今月こそ節約するぞ!」って思っているのに、
なぜか月末には「おかしいな……なんでこんなに少ないんだろ?」と財布をのぞいてしまう。
買った覚えのないコンビニのレシート。
使ったつもりのないサブスク代。
気づいたら「今だけ限定!」に釣られてポチっている。
これ、僕だけですかね?
……いや、きっと多くの人に「あるある」なはずです。
それ、全部“脳みそのクセ”のせいかも
お金が貯まらないのは、意志が弱いからじゃない。
性格がだらしないからでもない。
ただただ、脳みそのクセに負けているだけなんです。
今日はそのクセの正体を、3つに絞ってご紹介します。
どれも行動経済学では有名なバイアス。
でも意外と日常で無意識にやられているんですよね……
【1】イナーシャ(惰性)──「このままでいっか」の罠
たとえば、積立貯金を始めようとする。
でも「銀行に行くの面倒だなぁ」とか「口座分けるのはまた今度でいいや」と放置してしまう。
この“先延ばし”は、イナーシャ(inertia:慣性・惰性)というバイアスの影響です。
人間は「現状維持」が大好き。
新しい行動にはエネルギーがいるから、無意識に避けてしまうのです。
だから、何もしないまま時間だけが過ぎていきます。
【2】損失回避バイアス──「減るのはイヤ」が邪魔をする
「5,000円貯金する」のはしぶしぶでも、
「5,000円分の洋服が30%オフ!」だと嬉々として買ってしまう。
この矛盾した感情、ありませんか?
損失回避バイアス(loss aversion)とは、
人間が「得をする喜び」よりも「損をする痛み」に強く反応する性質のことです。
お金を使うと減る。
でも「投資に回す」や「先取り貯金」も、“使った感じ”がして損した気分になる。
それでつい、「今あるお金はこのまま持っていたい」と思ってしまう。
でもそのままだと、ただ使って終わりです。
【3】現在志向バイアス──「今が楽しければ、それでいい」
将来のためにお金を貯める。
頭ではわかっているのに、つい「今、ちょっとした贅沢」に負けてしまう。
現在志向バイアス(present bias)は、
将来の大きな利益より、今すぐの小さな満足を選びがちな人間の傾向です。
たとえば、
「コツコツ投資して20年後に100万円」よりも、
「今すぐ10,000円分の焼肉食べたい!」のほうが魅力的に感じるのです。
だから未来の自分にプレゼントを送る(=貯金や投資)が、どうしても後回しになるのです。
じゃあ、どうすればいいの?
答えはシンプルです。
「脳のクセに勝とうとしない」こと。
戦わずに、「勝手に続く仕組み」をつくることです。
たとえば…
- 給料日に自動で貯金用口座に振り分ける(先取り設定)
- 楽天証券などで“ほったらかし積立投資”を仕込んでおく
- 通帳や口座はなるべく見ない(使えるお金と分ける)
これらは、「考えない」「迷わない」「意志力に頼らない」ための工夫です。
おわりに:ズボラでも、お金は貯まる
お金が貯まらないのは、あなたが悪いんじゃない。
むしろ、誰もが陥る“自然なクセ”のせいなんです。
だからこそ、意識ではなく仕組みで対抗する。
それが「ズボラでも続けられる」お金の教習所スタイルです。
ぼく自身、脳のクセに何度もやられてきました。
でも仕組みでカバーすれば、だんだん「気づいたら貯まってる」が実現できます。
未来の自分を助けるのは、今のちょっとした準備だけかもしれません。
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